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本山納骨とは? その意味と、詳しい手順について

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家のお墓でもなく、お寺の納骨堂でもなく、本山寺院への納骨、いわゆる「本山納骨」を希望する人が少なくありません。
 
本山納骨の歴史は古く、かつては高野山への納骨、そして江戸時代からは京都にある東西本願寺への本山納骨が盛んにおこなわれるようになりました。
 
現代では、各宗派の本山寺院で納骨を受けつけてくれますが、特に本山納骨が盛んにおこなわれている浄土真宗本願寺派と、真宗大谷派を例に、本山納骨の歴史、そして実際に納骨をする際の費用などについて解説いたします。

本山納骨とは

本山とは、仏教各派において、中心となるお寺のことです。つまり、本山納骨とは、本山寺院にお骨を納めることを意味します。
 
これまで私たちは、家族のお骨を家族のお墓に納めるのが当たり前でしたが、そのうちの一部を本山に納めることは、古くから行われてきた風習です。
 
本山納骨といえば、浄土真宗が有名ですが、その他にも、「日本総菩提所」の異名をとる高野山(真言宗の総本山)に納骨を希望する人も多く、「高野聖」と呼ばれる遊行僧が全国を行脚していたこともよく知られています。

本山納骨が浄土真宗で盛んな理由

本山納骨は各宗派で行われていますが、特に盛んなのが浄土真宗だと言われています。浄土真宗では、故人の遺骨はお墓ではなく、親鸞聖人が眠る廟所に納める本山納骨が行われてきました。
 
浄土真宗の多い地域では、歴史的にお墓を建てない地域が少なくなく、その代わりに遺骨を本山に納骨したのです。
 
どうして浄土真宗ではこのような風習があったのかというと、浄土真宗の教え自体が、祖先を個別に供養することよりも、阿弥陀如来に帰依すること、そしてその教えを門徒たちに広めた親鸞聖人を慕うことを大切に考えたからです。
 
そのため、現代においても浄土真宗では、他の宗派では当たり前に行われているしきたりを不要としているものが少なくありません。
 
死者や先祖の霊魂が込められるとされる位牌もなくてよいとされていますし、先祖がわが家に帰ってくるお盆という風習も、厳密には不要だとしています。
 
そもそも浄土真宗では、阿弥陀如来を信じて「南無阿弥陀仏」の念仏を称えるものはどんな人でも等しく極楽浄土に往生できると考えています。そのため、遺された家族が葬儀や法事で一生懸命供養しなくても、故人はもうすでに阿弥陀如来に救われているため、お墓を不要と考えたのです。
 
ですから、真宗地帯では、火葬後のお骨の一部を本山納骨し、それ以外のお骨はそのあたりに野ざらしにしていたところも少なくなかったと言われています。
 
現代では、遺骨を野ざらしにすることもありませんし、真宗門徒でもお墓をきちんと建立しますが、それでも、わが家のお墓に納めるお骨と、本山納骨するお骨を分骨するケースがいまでも多く見られます。

少子高齢化で見直される本山納骨

従来の社会では、1つの家が1つのお墓を持ち、その中に先祖代々のお骨を納めて供養していました。
 
しかし、本格的に少子高齢化が進む現代の日本では、家の墓を承継して守っていくことが困難な世帯が増えています。大切な家族の遺骨を粗末にはできないものの、お墓を建ててもすぐに無縁墓になってしまうことから、どのような選択肢を選び取るか迷ってしまうのです。
 
こうした状況に置かれている人たちの受け皿として、本山納骨が再注目されています。本山寺院に供養してもらえるという安心感、さらには末寺のように廃寺になる恐れもないことから、各宗派の本山寺院でも、永代供養としてのお骨の受け入れを実施しています。

【西本願寺】大谷本廟への本山納骨の方法

西本願寺が運営する「大谷本廟」では、3種類の納骨方法があります。それぞれの概要、納骨までの流れ、費用について分かりやすく説明します。

祖壇納骨

祖壇とは、親鸞聖人の遺骨が納められている場所です。親鸞聖人の側にいたいと願う方々がここに納骨をします。その数は年間約12,000件とも言われています。
 
納骨の際に納める懇志(費用)は次の通りです。

  小型容器 小型容器より大きい場合
一座経 3万円以上 5万円以上
永代経 6万円以上 8万円以上

※小型容器とは、幅9㎝、高さ15㎝程度のもの

無量寿堂納骨

無量寿納骨堂とは、大谷本廟内にある国内最大級の納骨所です。鉄筋コンクリートの建物の中に、たくさんの納骨壇が並び、その中に遺骨を収蔵します。第一と第二の2つの納骨堂ががありますが、現在新規交付を受け付けているのは、第二無量寿堂のみです。
 
無量寿納骨堂を利用できるのは、浄土真宗本願寺派の寺院、宗派の僧侶、寺族(僧侶の家族や親族)、門信徒らに限られます。
 
納骨壇の種類はさまざまで、新小型区画、中型区画、小型区画などがあります。納骨壇を取得する際の懇志(費用)は次の通りです。

  特別懇志
(納骨壇の費用)
年次維持冥加金
(年間管理費)
新小型区画 100万円~ 2千円~/年
中型区画 100万円~
小型区画 80万円~

墓地納骨

大谷本廟には一般墓用の墓地区画「大谷墓地」があり、江戸時代から日本全国の人たちがこの地にお墓を建てています。
 
大谷墓地の使用者は、浄土真宗本願寺派の寺院、宗派の僧侶、寺族(僧侶の家族や親族)、門信徒らに限られます。
 
墓地区画の費用は次の通りです。

  墓地交付冥加金
(墓地代)
墓地年次冥加金
(年間管理料)
新規墓地区画
(基礎工事済み)
200万円~ 5千円~/年
整備墓地区画
(基礎未工事)
100万円~

※2023年5月現在、新規交付を受付しておりません。
 
墓地や納骨堂に関しては、菩提寺または大谷本廟にお問い合わせください。
 
▶大谷本廟
京都市東山区五条橋東6丁目514
075-531-4171
https://otani-hombyo.hongwanji.or.jp/

【東本願寺】大谷祖廟への本山納骨の方法

東本願寺を本山とする真宗大谷派では、親鸞聖人の遺骨が納められている大谷祖廟への納骨に加えて、真宗本廟(東本願寺)への納骨、東大谷墓地への納骨の3つの方法があります。

大谷祖廟納骨

大谷祖廟とは、東山区円山町にある東本願寺の「飛び地境内」です。「御廟」と呼ばれる親鸞聖人が眠るそばに納骨ができ、大谷派の門徒でなくても受け入れてもらえます。
 
費用は、納骨後の読経の有無や期間、骨壺の大きさによってさまざまです。ただ遺骨を預けるだけという、最も安価な場合は2万円以上の志納金でよいとされています。
 
以下、こちらの表を参考にしてください。

別座(読経の際に、家族のみでお参りができる)

種別 志納額
1等 100万円以上 納骨当日、抹茶接待
毎月の命日・春秋彼岸・盂蘭盆会に永代読経
祥月命日・春秋彼岸に30年間案内状送付
2等 50万円以上 納骨当日、抹茶接待
毎月の命日・春秋彼岸に永代読経
祥月命日・春秋彼岸に20年間案内状送付
3等 30万円以上 納骨当日、抹茶接待
毎月の命日・春秋彼岸に永代読経
祥月命日・春秋彼岸に10年間案内状送付
4等 15万円以上 毎月の命日に永代読経
祥月命日に10年間案内状送付

一座読経(読経の際に、他の申込者とともにお参りする)

種別 志納額(容器が大きい場合)
1種 10(12)万円以上 毎月の命日に永代読経。祥月命日に10年間案内状送付
2種 7(9)万円以上 祥月命日と彼岸会(春または秋)に永代読経
3種 4(6)万円以上 彼岸会(春または秋)に永代読経
4種 2(4)万円以上 永代経の取り扱いなし

真宗本廟収骨

真宗本廟とは東本願寺のことです。
 
真宗本廟収骨では、東本願寺・御影堂に安置されている親鸞聖人御真影のもとに、遺骨を納めてもらえます。
 
ただし、真宗本廟への納骨は、必ず菩提寺を通じた手続きが必要で、原則真宗大谷派の門徒であることが条件となります。
 
納骨費用は12万円以上です。

東大谷墓地への納骨

大谷祖廟の中には、「東大谷墓地」と呼ばれる谷間に作られた広大な墓地があります。すでにお墓を持っている方はこちらに納骨できます。
 
新規墓地を希望の方は、定期的に行われる募集に対して申込しましょう。ただし、真宗大谷派の門徒に限られます。

まとめ

いかがでしたでしょうか。
 
葬儀後の遺骨をどうしようかとお悩みの方。さまざまな選択肢がある中で本山納骨も検討してみてはいかがでしょうか。
 
この他にも各宗派の本山寺院でも納骨を受け付けてくれますので、興味がある方はまずは自身の宗派の本山寺院に問い合わせてみましょう。

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蜷川 顕太郎

蜷川 顕太郎

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