中陰祭壇とは。意味や使い方について分かりやすく解説
投稿日:
中陰祭壇は、葬儀を終えたあと、故人の遺骨や位牌や遺影を並べ、遺族が手を合わせる場所としてとても大切な役割を果たします。
本記事では、中陰祭壇の意味や設置場所、配置方法から、中陰期間の供養の仕方や祭壇の処分方法までを詳しく解説しています。
遺族の方々が故人を手厚く供養し、新しい日常へのステップを踏み出すお手伝いができることを願っています。どうぞ、この記事を参考にして、中陰祭壇の設置にお役立てください。
もくじ
中陰祭壇とは
中陰祭壇は、四十九日までの期間、遺骨や位牌、遺影を飾り、故人を礼拝するための祭壇です。この期間、遺族は故人の冥福を祈ります。
地域によっては、初七日、二七日、三七日と、7日ごとに僧侶を招いて、「追善法要」を行うところもあります。この追善法要も、中陰祭壇の前で行われます。
「中陰」とは仏教において、故人が亡くなってから来世の転生先が決まるまでの猶予期間を指します。転生先の世界は、この世に生きている間に積み上げた善徳の数によって決まると考えられています。
このことから、遺族が仏に対して手厚く礼拝供養し、善徳を積むことで、故人がよき世界に生まれ変わるものと信じられてきたのです。それは同時に、遺された家族の死別の悲しみを癒すことにもつながります。
中陰祭壇は葬儀後の祭壇であることから、「後飾り」とも呼ばれています。ろうそく、線香、お花やお供え物などを飾り、故人を供養します。四十九日までの期間を大切にし、故人の冥福を祈ることで、遺族も心の整理ができることでしょう。
中陰祭壇は四十九日まで使用する
中陰祭壇は四十九日まで使用されるものです。四十九日は「満中陰」と呼ばれ、この日を境に中陰の期間が終わります。仏教では、故人はこの日を迎えると仏となり、来世で修業を積む日々を過ごすものと信じられています。
また、遺族にとっても、四十九日は忌明けを意味し、新たな日常を取り戻す区切りとなります。悲しみに暮れる日々から少しずつ立ち直り、これからの人生を前向きに過ごしていくための節目です。
このため、四十九日を境に、故人を祀る場所も中陰祭壇から仏壇に変えることが一般的です。これは遺族が少しずつ日常を取り戻し、故人と共に新たな人生を歩む契機となります。
中陰祭壇は、四十九日までの期間において、故人を偲び故人の冥福を祈る大切な場所です。そして四十九日を迎えた後は、仏壇を通じて故人とつながりながら、新たな日常を取り戻していきます。
中陰祭壇を置く場所
中陰祭壇の設置場所に厳密な決まりはありません。しかし、決まりがないからこそ、わが家の場合どこに置いたらいいのだろうかと迷ってしまうものです。そんな方は、以下のポイントを押さえることで、中陰祭壇を適切な場所に設置できます。
毎日礼拝しやすい場所
まず、毎日礼拝がしやすい場所に設置することが重要です。遺族が故人を偲び、故人の冥福を祈る場所であるため、日常生活の中で手を合わせやすい場所を選ぶことが望ましいです。
僧侶が招かれる中陰法要が行いやすい場所
次に、僧侶が招いて営む中陰法要を行いやすい場所にしましょう。中陰法要は、僧侶だけでなく、遺族が立ち合い、場合によっては親族が集まることもあるでしょう。それだけの人数を納められる場所に、祭壇を設置することが理想です。
弔問客を通しやすい場所
また、中陰法要の有無にかかわらず、弔問客を通しやすい場所に設置することも大切です。故人の知人や親戚が弔問に訪れる際に、落ち着いて手を合わせられる場所が望ましいです。
以上のポイントをまとめると、中陰祭壇を設置する最も良い場所は、仏間(仏壇が設置できる和室)と言えるでしょう。仏間は、仏壇を設置したり、冠婚葬祭を行う前提で設計されています。
もしも家に仏間がない場合は、居間やリビング、寝室などの中で、日々の生活の中で最も手を合わせやすい場所に置くことが良いでしょう。
なお、設置の向きはそこまで気にしなくても大丈夫です。昔は、東向きや南向きがよいとされていましたが、現代の住宅は、そもそも吉方を前提として設計していないことがほとんどなので、日々の生活の中で納まりのいい場所に設置しましょう。
中陰祭壇に並べるもの・配置場所
中陰祭壇には、2段のものと3段のものがあります。配置には基本的なルールがあり、上段に位牌、遺影、仏具を、その下の段に仏具やお供え物を並べます。
3段の中陰祭壇の場合、上段の右側に遺骨、左側に遺影を安置します。中段の中央に位牌を置き、両脇に果物やお菓子などのお供え物を配します。下段では、中央に霊供膳を配置し、その手前に香炉を置きます。また、右にローソク立て、左に花立を置き、おりんは右手で鳴らしやすいよう右側に配置します。
2段の中陰祭壇では、上段に中央に位牌を置き、右側に遺骨、左側に遺影を配置します。下段では、中央に香炉を置き、右にローソク立て、左に花立を配置します。おりんも同様に、右手で鳴らしやすいよう右側に置きます。
中陰祭壇の手前には「経机」と呼ばれる小机を置くことも少なくありません。置き場所に限りがあるため、これらもうまく活用しましょう。
中陰期間の供養の仕方
中陰期間中の供養は、故人の冥福を祈る重要な行為です。基本的には、家族が朝夕に手を合わせ、一日の中でしっかりと故人を偲ぶ時間を持ちます。
朝一番に、仏飯やお茶をお供えし、お花の水を交換します。霊供膳がある場合は、家族が食事をとるたびに同じものを供えるのがよいでしょう。故人には精進料理を供えることが理想ですが、これはできる範囲で構いません。
供養の際には、おりんを鳴らして心を静め、手を合わせます。宗派の経本を手に取ってお経を読んでも構いません。七日ごとの中陰法要が行われる場合は、僧侶を丁寧にお迎えし、一緒に供養を行います。
地域によっては、通夜などで用いる「巻線香」を使用し、四十九日まで香を絶やさないようにすることもあります。これにより、故人の魂が安らかに過ごせると考えられています。
中陰期間の供養は、故人を偲ぶと同時に、遺族が故人との別れを受け入れ、新しい日常を迎えるための大切な過程です。家族で協力し、心を込めて供養を行いましょう。
中陰祭壇の処分方法
中陰祭壇は、故人を偲ぶための一時的な祭壇です。四十九日が過ぎると、中陰期間が終わり、遺族は祭壇を処分する必要があります。処分方法は主に次の3つがあります。
葬儀社に引き取ってもらう
もっとも望ましいのは、中陰祭壇を設置した葬儀社に引き取ってもらうことです。ただし、引き取りに応じてくれない葬儀社や、引き取り料金が生じる葬儀社もあるので、事前に確認しておきましょう。
(ちなみに西田葬儀社では、自社でご葬儀された方は中陰祭壇の引取りを無料で行っております。その際はお電話ください。)
自分で処分する
中陰祭壇を自分で解体し、地域の粗大ごみとして収集してもらう方法です。段ボール製の中陰祭壇であれば簡単に片づけられるでしょう。木製のものであれば、多少の解体作業が必要になります。また、白無地の仏具がゴミに出されていることをよく思わない人もいるかもしれないため、陶製のものはある程度割ってからゴミに出すなどの配慮が求められます。
初盆の祭壇として使う
お盆の時期だけ設置する「精霊棚」に中陰祭壇を利用する地域もあるようです。この場合は、一度中陰祭壇を片づけて、家の中で保管をしておきましょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか。中陰祭壇に関することがらについて解説いたしました。
中陰とは、遺族が故人との別れを受け入れ、新しい日常を迎えるための大切な過程で、その期間故人と向き合う場所こそが中陰祭壇です。
中陰祭壇をきちんと設置でき、心静かに故人に手を合わせていただければ幸いです。この記事が皆様のお役に立てることを願っております。