SDGsとお葬式 環境に優しいお葬式の選び方
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SDGs「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」は、2015年9月の国連サミットで採択されました。
国連に加盟している193か国が2016年から2030年の15年間で達成するために掲げた目標のことで、世界中にある環境問題・差別・貧困・人権問題といった課題の解決を目指します。
日本国内においてもさまざまな企業や業界がSDGsに積極的に取り組んでおり、葬儀の現場においても例外ではありません。この記事では、お葬式におけるSDGsの取り組みをご紹介いたします。
もくじ
全葬連のSDGs達成への取り組み
日本全国の1,243の葬儀社が所属する全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成による「より良い世界」づくりへの取り組みを宣言しています。
葬儀業界が持続可能な社会実現に向けて何ができるのか。国連で採択された17の目標に対して、それぞれ取り組むべき努力目標を掲げています。代表的なものを列挙します。
【1.貧困をなくそう】
各自治体で実施している生活保護を受給されている方に対しての葬祭扶助制度への全面協力
【3.すべての人の健康と福祉を】
ご家族と死別されたご遺族の悲嘆(グリーフ)の心情を深く配慮し、葬儀を施行する
【4.質の高い教育をみんなに】
資格制度「葬祭ディレクター」の推進
地域の消費者向け「終活セミナー」の提供
【7.エネルギーをみんなに、そしてクリーンに】
葬祭ホール・事務所の照明にLED電球を使用し、電力使用量を削減することにより火力発電のCO2排出削減
葬祭ホールの屋上等に太陽光パネルを設置し「再生可能エネルギー」を作り出す
【11.住み続けられる街づくりを】
災害協定(大規模災害・事故が発生した場合、ご遺体の保全、搬送や棺・納体袋をはじめとした物資の拠出等支援活動を行う)
【16.平和と公正をすべての人に】
葬儀を行うにあたり、故人およびご遺族の、それぞれの生き方、信仰、信条、価値観、意思を尊重する
宗教宗派に則って葬儀を行う場合には、当該宗教宗派の儀礼、意向を尊重し、侵害しない
詳しくは全葬連のウェブサイトもご覧ください。
名古屋市第二斎場の環境配慮
平成27年7月から使用を開始した、名古屋市立第二斎場は、火葬設備の自動化、排煙の無煙・無臭化、定期的な排ガス測定、屋上緑化など環境に配慮した設計となっており、これはSDGsの17の目標、169のターゲットの内、「7.2 再生可能エネルギー」「9.4 資源活用、環境技術、産業プロセス・インフラの改善」などに該当しています。
環境に配慮した設備の導入だけではなく、排気筒出口の排出ガス濃度について、公害防止保証値を設定し、これを管理しています。窒素酸化物、硫黄酸化物、塩化水素の3項目については、火葬中、排ガスの連続測定器で測定し、そのデータは、第二斎場の東側にある名古屋市南陽交流プラザに設置された「第二斎場排ガス表示モニター」に表示されます。
また、第二斎場ウェブサイトの中にも、「排ガス測定」のページがあり、測定結果について公表しており、環境配慮への取り組みを市民にも広く知ってもらえるよう務めています。
こうした排ガスに関する積極的な情報開示は、SDGsの17の目標、169のターゲットの内、「16.6 あらゆるレベルにおいて、有効で説明責任のある透明性の高い公共機関を発展させる」に該当します。
西田葬儀社の取り組み
ここまで読んでいただいたように、葬儀社の業界団体である全葬連や、火葬場を運営する自治体がSDGsに向けてさまざまなことを実践しています。
それでは、実際にご遺族の方と直に接することとなる私たち葬儀社は、どのように環境に優しいお葬式、よりよい世界づくりにつながるお葬式ができるのでしょうか。
西田葬儀社の取り組みをご紹介いたします。
ドライアイスに代わるネオアイス
葬儀の現場では、ご遺体保全のため、ドライアイスがよく使われます。ドライアイスはそれ自体が固体のCO2であり、ドライアイスの使用が地球温暖化につながるのではという懸念が生じるかもしれません。
実際には、ドライアイスによるCO2の排出量はごくわずかだと言われており、それ自体が環境破壊に甚大な影響を与えることは考えにくいです。
ただし、ドライアイスの温度は−78.5℃で、この超低温を製造、保管するための専用施設の維持のために、多大なエネルギーを必要とします。
加えて、一度使用したら再利用はできません。つまり、ドライアイスそのものが、SDGsの理念の核である「持続可能」なものではないのです。
ドライアイスに代わるものとして西田葬儀社が使用しているのが「ネオアイス」です。
家庭用冷蔵庫の冷凍室で、ドライアイスに匹敵するほどの保冷剤を作ることのできる優れものです。
このネオアイスには、次のようなメリットがあります。
・ドライアイスのように、それ自体からにCO2の排出がない
・ドライアイス並みの超低温(-5℃~-55℃までがラインナップされている)
・繰り返し利用できる「持続可能な」保冷剤
・自宅用冷蔵庫でも冷却できるため、省エネ・節電に貢献
いまでもまだドライアイスを使用している葬儀社が大半ですが、西田葬儀社では常に環境に配慮し、かつお客様のためになる葬儀備品を探しており、そのうちのひとつがネオアイスなのです。
エコフィンシリーズの棺
もうひとつご紹介したいのが、新素材によるお棺「エコフィン」シリーズの棺です。
エコフィンシリーズの棺は、貴重な森林資源を大切に活用することを目指して作られています。
・従来の棺と比較して、約50%の資源削減を実現
・棺を利用するごとにモンゴルに植林する
・国産の間伐材を使用
・環境貢献レベルの数値化
このように、素材や製法にとどまらず、消費者への情報開示や植林を通じての環境貢献など、まさにSDDsの精神を取り入れた棺として、西田葬儀社もいち早く採用しております。
たとえば、「エコフィン・エブリー」。この棺の特徴は、トライウォール(強化段ボール)と間伐材を使用して、モダンなデザインの棺を作っている点です。
トライウォールは、一般的な段ボールよりもはるかに強く、木材のように用途が増え、家具などにも使用されています。加えて大変軽いことから、輸送時のトラックなどから輩出されるCO2も大きく削減する効果もあります。
間伐材とは、森林の成長過程で密集化する立木を間引く間伐の過程で発生する木材のことです。間伐とは山の手入れのようなもので、これをしないと森林が過密になり、地表に日光が届かず、樹木がお互いの成長を阻害し、森林全体が劣化していくことになります。
間伐材が消費されることで、国内の森林だけでなく、国産木材の消費も促進され、社会全体の貢献に大きくつながるのです。
まとめ
いかがでしたか? SDGsに向けた葬儀社や葬儀業界の取り組みについてお分かりいただけましたでしょうか。
西田葬儀社では、これからも、人に、そして環境に優しいお葬式の実現に務めてまいります。