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【2023年1月】コロナ葬儀のガイドライン改定を分かりやすく解説します

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2023(令和)5年1月6日、厚生労働省と経済産業省は、「新型コロナウイルス感染症により亡くなられた方及びその疑いがある方の処置、搬送、葬儀、火葬等に関するガイドライン」の改定版を公表し、自治体に通知しました。これにより、「社会経済活動をできる限り維持しながら、効果が高いと見込まれる対策を機動的・重点的に取り組むこと」という政府方針に沿い、コロナ禍によって設けられていた葬儀時のさまざまな制限が大幅に緩和されます。この記事では、ガイドライン改定のポイントを分かりやすく解説いたします。

※この記事は、2023(令和5)年2月時点のものです。ガイドラインの中にも「新たな変異株の出現などにより変更され得るものであり、変更があった場合には改めて周知いたします」とあるように、常に最新の情報を取得するよう努めていただければ幸いです。

ガイドライン改訂 4つのポイント

まずは、ガイドラインの改定によって何が変わったのでしょうか。大きなポイントは次の4つです。

1.遺体を納体袋に納めなくてよい
2.通常通りの通夜、葬儀、火葬が実施可能
3.故人に触れても構わない
4.新型コロナウイルス感染症で亡くなった方とそうでない方の火葬時間や導線を分けなくてよい

これまでは感染リスクを防ぐために、看取りや葬儀など、故人としっかりと向き合うことができなかったのに対し、改定後は納体袋に納める必要もなく、最期のお別れがしっかりとできるようになったのが大きなポイントです。ただしそのためには、「適切な感染対策」が求められます。この記事の中でも何度も示されることとなる感染対策は次の通りです。

▶遺体への感染対策
清拭
鼻孔、口腔、肛門等への詰め物
紙おむつの使用
棺表面の清拭や消毒

▶遺体に触れる人の感染対策(主に医師、看護師、葬儀社など)
サージカルマスクの着用
手袋の着用
使い捨ての長袖ガウンの着用
眼の防護具の着用

▶基本的な感染対策
体調不良時のオンライン等の活用
三密の回避
人と人との距離の確保
場面に応じたマスクの着用
手洗い等の手指衛生
換気

それでは、具体的に何がどのように改定されていったのか、項目別に詳しく解説していきます。

遺体からの感染リスク

新型コロナウイルス感染症の多くは、飛沫感染接触感染エアロゾル感染で感染すると言われています。そのため、仮に遺体の中に感染性ウイルスが残っていたとしても、呼吸や咳による飛沫感染やエアロゾル感染のおそれはないと考えられます。
万が一感染の恐れがあるのは、遺体への接触や体液の漏洩などです。これらを防ぐための適切な感染対策(清拭、鼻孔や口腔や肛門などへの綿詰め、紙おむつの使用など)をすれば、通常の遺体と同様に取り扱えるとしています。また、新型コロナウイルスは発症から10日が経過するとほぼ感染しないことが分かっていることから、予防策を実施する期間を過ぎたあとに亡くなった場合も、通常の遺体と同様に取り扱えます。
感染予防策を実施する期間は、感染者の状況によっても異なります。一般的には「発症日から10日間経過し、かつ症状軽快後72時間経過した場合」などとしていますが(厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 診療の手引き」より)、医師や保健所の定める指針に従いましょう。

納体袋について

ガイドラインの改定により、遺体を納体袋に収容しなくてもよくなりました。これまで、新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の場合、遺体からの感染リスクを防ぐために、非透過性の納体袋に納めなければなりませんでした。コロナ禍までは、私たちは当たり前のように、清拭、湯灌、ラストメイク、旅支度などと、遺体をきれいに整えてから納棺し、そして出棺の前には棺の中をお花でいっぱいにしていました。故人の肌に触れ、言葉を投げかけることは、大切な方を送り出すうえで、とても重要なことだったのです。
しかし、新型コロナウイルスで亡くなった方においては、故人の顔を見ることも、肌に触れることもできませんでした。ただ納体袋に収容されている姿は、死別の悲しみに苦しむ遺族の心情をケアできないどころか、逆にその苦しみを深めてしまいかねませんでした。新ガイドラインでは、適切な感染対策(清拭、鼻孔や口腔や肛門などへの綿詰め、紙おむつの使用など)をすることで、通常通りに遺体を扱えるようにできるとしています。ただし、損傷の激しい遺体、解剖後の遺体、体液漏出のリスクが高い遺体の場合は、新型コロナウイルスの有無にかかわらず、納体袋を使用しなければなりません。

遺族が濃厚接触者の場合

濃厚接触者や症状のある人の場合、次のような感染対策が求められます。

●対面での打合せを控える
●葬儀、火葬への参列を控え、オンラインを活用する
●三密の回避
●ソーシャルディスタンス
●マスクの着用
●手洗いなどの手指衛生
●室内の換気

なお、濃厚接触者の待機時間は3~5日間です(令和4年7月30日一部改時点)

遺体への接触

もしも故人が新型コロナウイルス感染症が原因で、感染予防策を実施する期間を満了する前に亡くなった場合、次の対策が必要です。

●遺体に対する適切な感染対策(清拭、鼻孔や口腔や肛門などへの綿詰め、紙おむつの使用など)
●サージカルマスク、手袋、使い捨ての長袖ガウン、眼の防護具の着用

24時間以内の火葬

新型コロナウイルス感染症で亡くなった方の場合、24時間以内の火葬は可能ですが、義務ではありません。この方針は改定前も改定後も変わりません。

エンゼルケア・納棺

エンゼルケアとは、看護師などによる清拭(遺体をきれいに拭き清めること)や綿詰めなどの死後処置のことです。新型コロナウイルスで亡くなった方の場合、改定前はエンゼルケアもすることなく、なるべく遺体に手を触れずにそのまま納体袋に納めていました。改定後は適切な感染対策(サージカルマスク、手袋、使い捨ての長袖ガウン、眼の防護具の着用)を講じることにより、通常の遺体と同様のエンゼルケアが可能です。
また、遺体を囲んで行われる納棺式も、遺体への適切な対策(清拭、鼻孔や口腔や肛門などへの綿詰め、紙おむつの使用など)、遺体に触れる人の適切な対策(三密の回避、マスクや手袋の着用、手洗いなどの手指衛生、換気など)を行えば実施可能です。また、遺体を棺に納めたあとは、新しい手袋に付け替えて、棺表面の清拭、消毒を促しています。

通夜・葬儀

新型コロナウイルスで亡くなった方の通夜や葬儀も、適切な感染対策を講じれば通常通りに執り行えます。

▶遺体に適切な感染対策
清拭
鼻孔や口腔や肛門等への詰め物
紙おむつの使用
棺表面の清拭や消毒

▶基本的な感染対策
体調不良時のオンライン等の活用
三密の回避
人と人との距離の確保
場面に応じたマスクの着用
手洗い等の手指衛生
換気

また、会場のスペースによっては人数制限を設けることを促しています。

火葬・拾骨

火葬場での火葬や拾骨もまた、「通夜・葬儀」の章で挙げた遺体に適切な感染対策や、基本的な感染対策を講じていれば、通常通り行えます。また、適切な感染対策が講じられているのであれば、新型コロナウイルスで亡くなった人と、そうでない人との火葬時間帯や、遺族の動線を分ける必要はありません。

遺品

アルコールなどで清拭消毒すれば、遺品は通常通り取り扱えます。新型コロナウイルスの残存期間は、プラスチックやステンレス表面で72時間、その他の素材ではそれ以下と確認されています。

清拭消毒の方法

清拭消毒は、次のようにすべきとしています。

▶生前使用していた病室内で高頻度に接触していた箇所
●アルコール(エタノール又は 2-プロパノール)
●0.05%次亜塩素酸ナトリウム
●次亜塩素酸水(有効塩素濃度 80ppm 以上(ジクロロイソシアヌル酸ナトリウムを水に溶かした製品の場合は 100ppm 以上))
●亜塩素酸水(遊離塩素濃度 25ppm(25mg/L)以上)

▶葬儀、火葬の現場での接触箇所
●消毒用アルコールや住居用の洗剤などで定期的に清拭消毒
●タオル、衣類、食器、箸・スプーン等は、通常の洗濯や洗浄

いかがでしたでしょうか。新型コロナウイルスで亡くなった方からの感染リスクに科学的根拠が見いだせたこと、社会全体に新型コロナウイルスへの対策意識が高まったことなどから、このたびの改定が行われたものと思われます。従来通りのお葬式をほぼ執り行えることとなりましたが、状況によっては更なる変更の可能性もあります。この記事のはじめの方でも触れたように、個々人が常に最新の情報を取得することが、感染防止の第一歩と言えるでしょう。

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蜷川 顕太郎

蜷川 顕太郎

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