デジタル遺産ってなに?遺族が困らないためにしておきたい6つのコツ
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私たちは、スマホを使ってさまざまなことを行っています。電話やメールなどのコミュニケーション、写真の撮影やSNSへの投稿、さらには物を買ったり売ったり、ネットバンキングやネット証券など、金銭に関わる取引を行っている人も少なくありません。こうしたデジタル機器内で管理されているものは、その利用者が亡くなることで「デジタル遺産」や「デジタル遺品」となってしまいます。家族同士でさえ、お互いのスマホの中身を見ることがほとんどない中で、遺された家族は故人のスマホの中身をどう引き継ぎ、整理していけばよいのでしょうか。この記事では、デジタル遺産がどういったものなのか、遺された家族が困らないために、元気なうちからしておくべきことについて解説いたします。
もくじ
デジタル遺産とは
スマホやパソコンなど、私たちはデジタル機器やネット上にたくさんのデータを保管しています。これらの中で、金銭に関する財産のことをデジタル遺産と呼びます。
デジタル遺産の種類
「遺産」と聞くと預貯金や不動産などを連想しがちですが、金銭に関する財産はこれらばかりではありません。有価証券や定期課金商品、電子マネーやポイントなど、これら金銭に関わるものすべてがデジタル遺産に含まれます。
金融商品
ネット銀行の口座(ネットバンキング)
ネット証券の口座(SBI証券、楽天証券など)
仮想通貨や暗号資産(ビットコイン、イーサリアムなど)
FX(外国為替証拠金取引)
ポイント
各種ポイント
マイレージ
有料会員サービス
定期課金サービス
オンラインサロンなどの月額費
サブスクリプション契約
その他
電子マネーの残高
通販サイト
デジタル遺産とデジタル遺品の違い
スマホやパソコンの中には、金銭につながらないデータも膨大に保存されており、これらをまとめて「デジタル遺品」と呼びます。相続の対象にはならないものの、これらの遺品整理も遺された人たちがしなければならないことです。
デジタル遺品には、次のようなものがあります。
デジタル機器本体に保存されているもの
スマートフォンで撮影した写真や動画
パソコンに保存されている画像データやWordデータ
ダウンロードした音楽データ
インターネット上に保存されているもの
クラウドで保存されているデータ
SNSサービスのアカウントや連絡先
個人ブログのデータ
デジタル遺産の相続手続きの問題点
通常の遺産相続でもトラブルがつきものだと言われていますが、目に見えない、形がない、データがどこに保存されているか本人以外では分からないデジタル遺産の相続は、困難を極めます。まずはその問題点を押さえておきましょう。
ログインできない
デジタル遺産の一番の特徴は、遺産に関するデータが本人にしか分からない情報で管理されている点です。スマートフォンやパソコンの中に入るためには、ロックを解除するパスワード(顔認証や指紋認証)が必要ですし、さらに、デジタル遺産が管理されているサイトやアプリにアクセスするには、そろぞれ個別のログインIDやパスワードを入力しなければなりません。最近では、二段階認証を設けているサイトやアプリも多く、故人のスマホが開けない場合や、電話を解約してしまった場合、SMSにてコードを受信できなくなってしまいます。
保存場所が分からない
相続人がデジタル遺産の項目や保管場所を特定するのは至難の業です。仮にスマホやパソコンにログインしたとしても、故人が利用していた銀行口座、証券会社、通販サイト、各種課金サービスをどこで管理しているか、見当もつかないことでしょう。
再協議や修正申告をしなければならない
遺産相続では、相続人全員で遺産分割協議を行い「誰が」「何を」「どれだけ」取得するかを話し合わなければなりません。
そのために、まず故人がどれだけの遺産を持っているかをすべて把握することが求められるのですが、遺産分割協議が済み、無事に遺産相続が終わったあとにデジタル遺産の存在を知ってしまうと、再協議や修正申告をしなくてはなりません。
支払いを続けなければならない
音楽や映画などネット上には多種多様な月額課金サービスがあります。これらと契約していたものの解約手続きができていない場合、相続発生後も料金を払い続けなければなりません。こうした定期課金サービスは、利用者側から申請しないと解約されませんし、多くのサービスが自動更新となっているため、利用料金が引き落とされ続けるのです。
デジタル遺産の生前整理 6つのコツ
それでは、デジタル遺産の生前整理はどのように行えばよいのでしょうか。いまからできる7つのコツをお伝えいたします。元気なうちに身の回りのものを整理しておく「生前整理」をすることで、死後の家族の負担が大きく軽減されます。無形のデジタル遺産はなおのこと死後の相続や手続きが大変ですから、元気なうちに生前整理をしておくことで、本人も安心ですし、遺された家族に余計な負担や迷惑をかけずに済みます。
1.相続してほしい人との情報共有
終活や生前整理で特に大切なのは、相続してほしい相手との情報共有です。一般的な遺産相続の場合でも、預貯金がいくらあるか、株式などの有価証券はどの証券会社と契約しているか、不動産がどこにあるかなど、故人が残していた遺産の所在や価値が分からないことで困っている人が多くいます。これはデジタル遺産の場合も同じで、まずは自分の財産についての情報を共有しておきましょう。「何を」「どこに」「どれだけ」保有しているかを伝えておくだけでも、家族には大きな助けとなるのです。
2.ログインIDやパスワードを伝えておく
デジタル遺産についてすべてを共有できなくても、スマホやパソコンのログインIDやパスワードを伝えておくだけでも、遺産相続がスムーズに運びます。個人情報がたくさん詰まっているため、簡単に教えられるものではないものの、いつかは誰かに整理してもらわなければならないものです。信頼のおける相手にだけでも伝えておくのが賢明です。
3.エンディングノートの活用
デジタル遺産の相続や、デジタル遺品の整理はその数が膨大で、いざ生前整理を始めようと思っても、自分自身も何から手を付ければいいか分からないものです。そんな時こそエンディングノートを活用しましょう。終活や生前整理でしなければならないことを網羅的にまとめられます。ここに自分自身に当てはまる事柄をメモしておくだけで充分遺族の助けになります。
4.財産目録の作成
財産目録を作成し、自分自身が所有している財産や、契約しているサービスなどを一目でわかるようにしておきましょう。特に決まった書式はないので、Excelなどの表計算ソフトを活用するとよいでしょう。財産の項目、財産の価値、契約している会社、アカウントやパスワードなどを記載しておくと親切です。
5.不要なものは早めに解約
利用頻度の少ないサービスや課金アプリは、元気なうちに解約しておきましょう。いますぐ不要でないものも、定期的に見直して、少しでもスマホの中を軽くしておくことが大切です。
6.スマホやパソコンの中身を整理
スマホやパソコンの中に保存された膨大なデータも、フォルダに分けて仕分ける、不要なものは削除するなどしてきれいに整理しましょう。また、「デジタル遺産」というフォルダを一つ作り、その中に財産目録や、各契約のアプリやURLなどをまとめておくことで、遺産相続の負担が軽減されます。
いかがでしたでしょうか。
デジタル遺産も、通常の遺産相続と同じで、自身が保有している財産について「何を」「どこに」「どれだけ」という情報を家族に伝えておくことが大切です。加えてデジタルの場合は、こうした情報が無形データの形で保存されているため、スマホやパソコンのロック解除の方法、ログインIDやパスワードなどのアカウント情報を伝えておくだけで、デジタル遺産の相続、デジタル遺品の整理がグッと楽になります。
どうぞあなたも、今手のひらに乗っているスマホの中の、あなた自身の財産や大切なデータを整理してみませんか。