お葬式のギモン

神道のお葬式。神葬祭を分かりやすく解説します。

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日本人にとって常に身近にある宗教といえば、仏教と神道です。お葬式は仏教寺院が担うことが多いのですが、一部、神道の葬儀を行う家もあります(神式葬儀や神葬祭と呼ぶ)。「わが家は神道の家。お葬式はどうすればいいのだろうか」「神道の葬儀に参列しなければならない。作法やマナーが分からない」、このようにお困りの方のために、この記事では神道のお葬式について分かりやすく解説いたします。ページの最後には動画でもわかりやすく解説しているので、ご興味のある方はそちらもチェックしてみてください。

神道とは

神道のお葬式について詳しく解説していく前に、そもそも神道がどのような宗教なのかを簡単に解説いたします。

神道は日本古来の宗教
神道は日本特有の宗教です。仏教がインド発祥の外来の宗教であるのに対し、仏教伝来よりはるか前からこの国の自然や祖霊を信仰してきた日本人が、体系的にまとめていったのがいまの神道なのです。日本人は、山や川や海、森や木や岩などの自然の中に魂が宿ると考え、大切にしてきました。こうした自然の中にある神々に対して礼拝する場所が、日本中に見られる神社です。

やがてカミとなるご先祖様
神道や昔からの日本の民俗では、故人はやがて祖霊となり、わが家を守ってくれる存在として祀られます。そして、さらに長い年月をかけて、その家の祖霊はやがて村全体の氏神へと昇華していくのです。山や森や川や海などの、私たちの暮らす村の身近な自然に還り、いつも子孫のことを見守ってくれている存在になるのだと考えられているのです。
神社で行われるお祭りや初詣は、その土地の神様に対して感謝を込めて行われるものですが、その神様とは、私たちの古い古いご先祖様でもあるのです。

神道のお葬式は、故人様を家の守護神にするための儀式
こうして、神道の教え、神道の死後観を見てくると、神道の葬儀の意味が分かりやすくなるのではないかと思います。神式のお葬式は、亡き人の霊を慰め、家の守護神になってもらうための儀式です。そして葬儀の後も長い時間をかけて定期的に行われる霊祭(仏教における年忌法要)を通して、故人の御霊を浄化し、神様へとなってもらうのです。

神式のお葬式の流れ

それでは、神道のお葬式はどのような形で進んでいくのか、具体的な流れを解説していきます。

①臨終
病院などでご臨終を迎えたら、すぐに葬儀社に連絡し、ご遺体搬送の手配をします。この時に葬儀社に神道のお葬式を行う旨を伝えておくと、あとの流れがスムーズでしょう。

②帰幽報告(きゆうほうこく)と神棚封じ
神棚を設置している場合、家族がご逝去を迎えたこと(帰幽)を神様に対して報告します。そして、神棚や祖霊舎の扉を閉め、その前に白い紙を貼ります。これを「神棚封じ」と言います。死を穢れと考える神道では、五十日間の喪に服す期間、神棚を封じて死の穢れが神様に届かないようにします。この期間、神棚に対して礼拝をしないため、榊や米や塩などのお供え物も下げておきましょう。

③枕直しの儀(ご安置)
故人の頭を北向き、または部屋に向かって右側(上位の場所)の向きになるようにして安置します。自宅への安置が難しい場合は葬儀社の安置室などを利用します。

④納棺の儀
納棺の儀は、家族や親族が集まって執り行います。神道では、故人が納まる棺に紙垂を下げた注連縄(しめなわ)を巻きます。納棺の儀は、湯灌(ご遺体の清め)、死に化粧(ラストメイク)をしたあとに、神職の衣装を着せていきます。男性は白丁(はくちょう)を着て、烏帽子(えぼし)を頭に被り、笏(しゃく)を手に持ちます。女性は白い小袿(こうちき)を着て、扇を手に持ちます。
最近では、こうした神職の衣服を上から掛けるだけにすることも少なくありません。ご逝去後すぐに病院が着替えをしてくれて、そのあとすぐにドライアイスの手当をするため、身体が硬直してしまい、新たに衣服を袖に通すのが困難だからです。

⑤通夜祭・遷霊祭
神道のお葬式にとって通夜祭はとても重要な儀式です。通夜祭の中で行われる「遷霊祭」と呼ばれる儀式で、故人の身体の中にある御霊を「霊璽」と呼ばれる白い木の板に移して留めます。以降この霊璽を家の守り神の象徴として、大事にお祀りしていきます。古来より遷霊祭は闇夜の中で行われるものとされています。ですから、いまでも遷霊祭の時には葬儀式場の中の灯りをすべて落とし、暗闇の中で行われます。また、神道のお葬式の特徴として、式中は雅楽が演奏されます。

通夜祭、遷霊祭は次のような流れで行われます。

●神職参進
斎主(儀式を中心となって執り行う神職)・斎員(斎主を補佐する神職)が式場内に入場します。

●修祓(しゅばつ)
斎主によって、式場や参列者にお祓いをして清めます。

●斎主一拝
参列者も起立して、斎主にならい、神前に深く一礼します。

●献饌(けんせん)
斎主が神前にお供え物をします。

●祭司奏上(さいしそうじょう)
斎主が神前に、故人の安らかな死と遺族や子孫の守護を願いを乞います。

●遷霊祭
故人の御霊を霊璽(れいじ)に移す、神葬祭の中で最も大切な儀式です。式場内を暗転させて、真っ暗な状態で行われ、参列者は心静かに斎主による儀式を見守ります。

●玉串奉奠
喪主、遺族、親族、参列者の順に、霊前まで進み出て玉串を手向けます。玉串とは「紙出」と呼ばれる白い紙を垂らした榊のことです。斎員より手渡された玉串を、八足案と呼ばれる台の上に置きます。そして、音を立てずに「二礼二拍手一礼」をして、故人の冥福を祈ります。

●直会
通夜祭のすべての行程が済むと、直会(なおらい)と呼ばれる食事の席にて、参列者らを飲食でもてなします。

⑥葬場祭
通夜祭の翌日に行われる「葬儀・告別式」に該当するものです。斎主による儀式と、参列者全員の玉串奉奠を中心に行われます。その後、棺の中をお花いっぱいにして、火葬場に向けて出棺をします。

⑦火葬祭
火葬場に到着すると、火葬に先立ち、炉前やお別れ室で行われる祭礼です。斎主のお祓い、祭詞奏上、そして遺族らが玉串奉奠をしたあとに、棺が火葬炉に入るところを見守ります。火葬を終えた遺骨を二人一組で拾い上げるのは仏式も神式も同じです。

⑧埋葬祭
もしも、火葬当日にお骨をお墓に埋葬する場合は、墓前にて埋葬祭が行われます。斎主によるお祓い、祭司奏上、玉串奉奠をして埋葬をします。

⑨帰家祭~直会
自宅の神棚や葬儀式場の祭壇にて、神様やご先祖様に対して葬儀を無事に終えたことを報告し、修祓、祭祀奏上、玉串奉奠が行われます。その後は直会の席で、神職や親族をもてなします。

神道のお葬式の参列マナー

ここでは神道のお葬式の独特のマナーについてご紹介いたします。仏式葬儀と比較しながら分かりやすく解説いたします。

玉串奉奠
神式では、故人に弔意を示す作法として、焼香ではなく玉串奉奠を行います。玉串奉奠自体は、葬儀だけでなく、神社などで行われる祭礼(お宮参り、七五三、厄払いなど)でも行われます。ただし葬儀の場合は拍手の際に音を立てないのが特徴です(しのび手)。玉串奉奠の一連の作法は次の通りです。

1.玉串を受け取る
神前まで進み、斎員から玉串を受け取ります。葉先を左手側にして下から支え、根元は右手側にして上から被せるように持ちます。この状態で玉串をおなかのあたりで持ったまま、八足案(玉串を捧げる台)まで進みます。

2.玉串を置く
まずは神前に一礼します。そして、左手に葉先を持っていたのを右手に持ち替え、根元を左手にします。そこから時計回りに回転させて根元が神前に向くようにして、八足案に置きます。

3.二礼二拍手一礼
玉串を八足案に置いたら、深いおじぎを2回、音を立てない拍手(しのび手)を2回、そして最後に深いおじぎを1回してから、心を込めて故人の安寧を祈ります。

4.自席に戻る
神職や喪主に一礼をして、自席に戻ります。

服装
参列時の服装マナーは、仏式と同じで、男女ともにブラックフォーマルです。急なことで喪服の準備が整わない場合、通夜であれば平服で構わないとされていますが、葬儀にふさわしい地味目な色柄(黒、紺、グレー)のスーツ姿が基本です。

香典
神道のお葬式でも、金品のお供えである御香典は取り交わされます。ただし、神道ではお線香やお焼香のような「香」を用いないため、表書きに「香典」とは書きません。
神道の香典の表書きは「御榊料」「御玉串料」「御神前」などと書きます。

いかがでしたでしょうか。普段なかなか参列の機会のない神道のお葬式。きっと戸惑うことも少なくないでしょう。神葬祭で分からないことや疑問に思うことがありましたら、どうぞお気軽に西田葬儀社にご相談下さいませ。
動画の閲覧はこちらから↓↓

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蜷川 顕太郎

蜷川 顕太郎

最後の刻も故人様らしく迎えられるように全身全霊を尽くします。

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