「通夜」「葬儀」「告別式」「お別れの会」の違い
お葬式の中には、通夜、葬儀、告別式、お別れの会など、さまざまなセレモニーが行われます。まずはこれらの違いについて下の表にまとめました。
ただし、これらの用語は違った意味で用いられていたり、用法が重なっていることもしばしばなので、お葬式に不慣れな方にとっては少し分かりづらいところもあるかもしれません。たとえば、こうした一連のお葬式をまとめて「葬儀」と呼ぶこともありますし、2日目の儀式全体のことを指すときも、「葬儀」「葬儀・告別式」「告別式」などと、葬儀社によって呼び方が異なってしまっているのが実情です。
この記事では、これらの用語ひとつひとつが何を指しているのか、具体的に解説し、それぞれの儀式が何のために行われているのか、なるべく分かりやすく解説いたします。
通夜とは
通夜とは、葬儀・告別式の前日に先立って行われる儀式です。
かつては故人に夜通し寄り添うことを通夜と呼んでいました。いまでも家族は故人に夜通し寄り添いますが、これに加えて一般参列者の弔問の場としての役割があります。日中に行われる葬儀・告別式に参列できない人たちにとって、通夜が故人との最後のお別れの場となるのです。僧侶の読経の中、参列者ひとりひとりが焼香をして弔意を示します。
葬儀とは
葬儀とは、葬儀・告別式の中における、宗教者による宗教儀礼のことです。仏教の葬儀において最も大切な「授戒」と「引導」が行われます。(※宗教・宗派によって異なることがあります)
仏教では、故人は死後仏弟子となり、あの世でも修行を積んで仏を目指すと考えられています。そのため、僧侶は故人に対して、仏道に進むための決まりごとである「戒」を授け(授戒)、故人をあちらの世界に送り出すのです(引導)。ちなみに、戒を授けた際の修行者としての名前が戒名です。こうした一連の儀式は僧侶が故人に対して粛々と行います。遺族や参列者は心を静かに落ち着けて、座席に座ったまま、この様子を見届けます。
告別式とは
告別式とは、遺族や参列者が、故人に最後の別れを告げる時間のことです。僧侶の読経中には一人ずつ焼香をし、出棺の直前には柩の中にお花を入れます。
お別れの会とは
お別れの会とは、告別式の中でのお花入れの時間のことを指します。
葬儀・告別式の流れ
葬儀・告別式は次のような流れで進んでいきます。
葬儀
①受付
受付は開式の約1時間前から始まります。参列者は式場に到着したら、受付で記帳をして、香典を差し出すので、受付係はそれらを受け取り、返礼品を手渡します。もしも参列者が前日の通夜にも参列し、すでに香典を受け取っている場合は、記帳だけをしてもらいしょう。
②着席
開式10分前に式場内の座席に着席します。着席の順番がそのまま焼香の順番となります。喪主、遺族、親族の順番に着席するのが基本です。
③導師入場・開式
導師が入場する際は、合掌でお迎えします。司会者が開式を述べて、葬儀・告別式が始まります。
④読経・引導
僧侶による儀式は30~40分程度です。それぞれの宗派の作法や読経が行われます。通夜と同様にお経が読まれますが、これに加えて葬儀でメインとなる儀式が引導作法(授戒と引導)です。遺族や参列者はこれらの儀式を静かに見守ります。
⑤弔辞・弔電
弔辞者が弔辞を読み、司会者がいただいた弔電を奉読します。弔辞は、主に生前に故人と親しくしていた人が読むもので、事前に喪主が依頼をしておきます。霊前まで進み出て、5分程度のお別れの言葉を述べてもらいます。弔辞の後は司会者が弔電を数通奉読します。どの弔電を読み上げるか、事前に葬儀社と打合せをしておきます。
告別式
①読経・焼香
再び僧侶による読経が始まり、喪主、遺族、親族、そして参列者の順番で焼香をします。霊前にまで進み出て、喪主や遺族に一礼し、故人にも一礼します。そしてお香を手に取り、香炉の中に落とし、心を込めて合掌をして故人の冥福を祈ります。焼香の回数は宗派によって違いがありますが、多くの場合、そうした知識を持ち合わせていない人がほとんどです。もしも分からなければ、1回でも3回でも構いません。心を込めて焼香をすることが大切です。
②導師退場・一同退場
読経が済むと、導師が退場します。参列者は合掌を送り出します。その後、出棺前の「お別れの会」の準備のため、親族や参列者もいったん式場の外に出ます。
③お別れの会
出棺に先立ち、お花入れを行います。葬儀社のスタッフが祭壇に飾られたお花や、親族や関係者から贈っていただいた供花を切り取り、これらを手にとって柩の中に納めていきます。お花入れが済むと、家族や親族全員で柩のふたを閉じます。地域によっては昔からのしきたりで「釘打ち」の儀式を行う場合もあります。
④喪主挨拶
出棺に先立ち、喪主が参列者に向けて御礼の挨拶を述べます。
⑤閉式・出棺
司会者が閉式を述べて、葬儀・告別式の終了です。柩は遺族、友人、関係の深い友人や知人などで霊柩車まで運びます。霊柩車までは、僧侶が先頭となり、喪主が位牌を、それに続く人が遺影を持って柩を先導します。柩を霊柩車に乗せると、喪主は霊柩車に同乗します。その他の遺族や親族は、マイクロバスや自家用車に乗って、あとに続きます。
火葬場に同行しない参列者は、合掌をして出棺を見送ります。
お手伝いや弔辞者の依頼について
葬儀の中で大切なお手伝いや弔辞者。誰に、どのように依頼すればいいのでしょうか。
お手伝い
葬儀を進めていく上で、欠かせない存在がお手伝いの方々です。本来は喪主や遺族が直接参列者に対応すべきですが、他にもすべきことがたくさんあり、そこまで手が回らないのが実情です。ですから、お手伝い係の人たちが、遺族に成り代わって参列者を受け入れ、案内します。
お手伝いの主な仕事は、受付係です。受付と言っても、記帳の案内、香典の受け取り、香典の計算、返礼品のお渡しなどがあります。特に香典を扱う場所になるので、信頼のおける人にお願いしたいところです。また、規模が大きくなると、式場内の案内係、駐車場係などをお願いすることもあるでしょう。信頼のおける友人や知人、あるいは親戚の中でも故人から少し距離のある方などにお願いしましょう。
弔辞
弔辞は必ず必要なものではありませんが、弔辞の時間があることで、葬儀がより深みのあるものになります。というのも、僧侶による読経と、喪主による挨拶に加えて、故人と生前に親しかった方による最後のお別れの言葉のおかげで、参列者一人一人が、自分自身と故人との思い出を具体的に蘇らせるきっかけとなるからです。また、自分たちの知らなかった側面を知る機会にもなるでしょう。
弔辞は基本的に喪主側から依頼します。依頼された側は文章を考えなければなりませんので、相手の迷惑にならないよう、なるべく早めに依頼しましょう。
また、葬儀会場では弔辞者、喪主、葬儀社スタッフで事前の打合せも必要です。弔辞者がどこに座るか、弔辞の際にどのようにマイクの前に進み出るか、弔辞を読んだ後にどこに置くかなどを確認します。
いかがでしたでしょうか。葬儀・告別式について分からないこと、疑問に思うことがございましたら、西田葬儀社にお気軽にご相談下さい。