お仏壇は、おうちを守って下さる仏様や、亡くなってしまった家族やご先祖様をお祀りする場所です。最近では「わが家に仏壇がない」「実家に行けばあるけど普段はなかなか目にしない」という方も少なくありません。しかし、葬儀を終えたあとに必ず必要となるのがお仏壇です。いまさら他人には聞けないお仏壇についての基礎知識を、分かりやすくお伝えいたします。
仏壇の基礎知識
まずは仏壇がどういったものなのか、基本的な事柄を押さえておきましょう。
どうして仏壇が必要なの?
日本人は、亡くなった方を身近に感じながら生活する民族だと言われています。大切な家族が亡くなったあともいつもそばにいてくれる。しかし、目に見えなくて手に触れらないために、感じこそするものの、さらにその存在感をたしかなものにしたい。そうした想いからお仏壇を自宅の中に祀る風習が生まれたのだと思います。
民俗学者の柳田国男さんによると、かつて日本人はご先祖様の魂を迎え入れるための「魂棚」をこしらえていたそうです。これこそが仏壇の原型だと言えるでしょう。日本で古くから行われていた祭祀儀礼は、インドの仏教や中国の儒教、道教と混ざりあいながら、日本社会の中に浸透してきました。
いまではお仏壇は二つの「仏」、仏教の仏さまと、成仏したご先祖様のそれぞれをお祀りする場所です。家族のつながりをいつまでも。こうした想いを祈る場所として、仏壇が必要なのです。
仏壇の種類
ひとことに仏壇と言ってもさまざまな種類があります。仕様別、形状別に解説いたします。
【仕様別】
金仏壇
漆や金箔、彩色や金具などが特徴の華やかなお仏壇です。『浄土三部経』の中に描かれている極楽浄土を再現していると言われており、主に浄土真宗の方がお祀りします。金仏壇は産地によって細かい仕様に特徴が異なり、浄土真宗が盛んだった都市や地域、主に名古屋、金沢、富山、福井、滋賀、京都、大阪、姫路、広島、八女(福岡県)などが知られています。
唐木仏壇
木目の美しさを生かした銘木を使用した仏壇のことです。黒檀、紫檀、鉄刀木(タガヤサン)などの世界三大銘木が材木として重宝されています。国内の木材でも、ケヤキ、クス、エンジュ、屋久杉なども用いられています。主に浄土真宗以外の宗派(真言、天台、浄土宗、禅宗、日蓮宗)などで祀られ、産地として有名なのは静岡や徳島などです。
モダン仏壇
伝統的な意匠を排し、現代的なインテリアにマッチしたデザインが特徴なのがモダン仏壇です。「現代仏壇」や「家具調仏壇」とも呼ばれています。部屋の中の家具や什器との調和を考えて、家具で好まれて使用されているウォールナットやタモなどの材木が人気です。
【形状別】
台付き仏壇
台付仏壇とは、上部の仏壇部分と下部の収納部分が分かれているタイプのお仏壇で、最もポピュラーな形状をしています。大きさはさまざまですが、小型のもので高さ130センチ程度、大型のもので高さ190センチくらいのものまであります。
上置き仏壇
上置き仏壇とは、家具や台の上に置けるコンパクトなお仏壇です。高さ40センチから60センチくらいのものが主流です。仏間のない一戸建て住宅や、マンションやアパートなどに住む方に多く選ばれています。
地袋用仏壇
「地袋」とは、和室に設えられた扉や戸のついた造りつけの棚のことで、この上に置くことを前提に造られているのが地袋用仏壇です。地袋の高さは30センチ〜40センチが一般的です。地袋の上にお仏壇を置く場合、台付き仏壇だと大きすぎ、上置き用仏壇だと小さすぎるという問題が生じます。その間を取る形で、地袋用仏壇は高さ80~120㎝くらいで造られています。
壁掛け仏壇
壁に取り付けるタイプのお仏壇です。場所を取らないため、スペースに限りがある方におすすめですが、流通の絶対数が少ないため、選択肢に限りがあります。また、取り付け工事の際に壁に穴をあけなければなりません。
仏壇の購入時期
仏壇は、四十九日法要に用意するものとされています。仏教では、死者は四十九日の中陰期間を経て仏様となると考えられているからです。葬儀の時にお寺が用意する白木位牌も、葬儀社が貸し出す白木祭壇も、すべては四十九日までの仮のお道具なのです。四十九日法要に間に合うように、早めに仏壇店を訪ねて、仏壇や位牌の用意をしましょう。
仏壇の中に並べられる仏具
仏壇の中にはさまざまな仏具が並べられます。宗派によって異なりますが、次のような仏具を一緒に用意します。
ご本尊
ご本尊とは、その宗派が定める仏様のことで、どの宗派でも三尊一組が基本です。仏壇店に自身の宗派を伝えれば、それに見合ったものを用意してくれます。ご本尊様は主に絵像(仏様の絵を描いた掛軸やスタンド)と、仏像(仏様を立体的に表すために彫刻されたもの)に分けられ、どちらを選んでも構いません。
位牌
位牌は故人様そのものとされるもので、故人様の戒名、俗名、命日、年齢を彫刻します。漆塗りのものが基本ですが、黒檀や紫檀などの唐木位牌や、モダンデザインの位牌、クリスタルの位牌など、最近はさまざまなものが販売されています。お仏壇の色柄や大きさにマッチしたものを選びましょう。
五具足、お供え物用仏具
五具足とは、お花、お線香、ローソク、ごはん、飲み物を供える仏具のこと。仏壇のデザインと大きさにあったものを選びましょう。
鳴り物仏具
鳴り物仏具とは、りん、木魚などの、音を打ち鳴らすためのものです。宗派によって必要なものが異なるので、仏壇店のスタッフにアドバイスしてもらいながら購入しましょう。
仏壇の購入方法
仏壇を買う場所
仏壇は主に仏壇店で購入しますが、最近ではインターネットでも販売されています。それぞれにメリットとデメリットがあります。
仏壇店での購入
仏壇店での購入の一番のメリットは現物が見れることです。長くご自宅にお祀りするものですから、現物を見て、触って、自分が希望するものを選びたいものです。また、スタッフがいることで、仏壇のことやそれ以外の仏事のことも気軽に相談できます。設置や配達もしてもらえるだけでなく、他の仏具も同時に購入できます。
インターネットでの購入
インターネットは、仏壇店に比べて圧倒的に安い価格で購入できるのが一番のメリットです。しかし、仏壇の購入は人生の中で一度あるかないかのことです。馴れない高額な買い物をインターネットで済ませてしまうことに不安を覚える方も少ないでしょう。
仏壇を選ぶ際の注意点
仏壇を選ぶ際は次の点に注意しましょう。
事前に設置場所を決めておく
まずは事前に仏壇をどこに置くかを決めておきましょう。そうでないと、仏壇選びが前に進まないからです。仏壇店に出向く時は、仏壇を置く場所の寸法(高さ、幅、奥行き)を測り、写真を撮っておけば、スタッフからより適切なアドバイスがもらえるでしょう。
宗旨宗派をきちんと確認しておく
仏壇の中に並ぶ仏具は、宗派によって異なるものがあります。わが家の宗派をきちんと把握した上で仏壇店に行きましょう。
信頼のおける仏壇店から購入する
こちらの話を親身に聞いてくれるか、仏壇の仕様(産地、材質、品質など)について分かりやすい説明がなされるか、店内や商品は清潔に保たれているかなど、信頼のおける仏壇店から購入しましょう。
仏壇の撤去について
お仏壇を守る人がいない、あととりがいないなどの理由から、仏壇の撤去処分を検討する人が少なくありません。遺品整理業者や住宅の解体業者がそのまま請け負ってくれることもありますが、多くの業者は仏壇の取り扱いを嫌がります。お仏壇は、これまで仏様やご先祖様をお祀りしてきたため、粗末に扱えないという心理が働くからでしょう。仏壇店や仏壇撤去の専門業者であれば、仏壇本体や中の仏具を引き取って処分してくれます。
なお、仏壇を撤去する際には必ず事前に僧侶による精抜き(閉眼法要)をしてもらいましょう。でないと仏壇店側も引取に応じてくれません。
いかがでしたでしょうか。毎朝毎夕のお仏壇へのお参りが、きっとあなたの心に平穏をもたらせてくれることでしょう。お仏壇の購入でお悩みの方、いまお祀りのお仏壇でお困りの方、どうぞ西田葬儀社にご相談下さい。