葬儀の遅刻・途中退席~ケースごとで考えるベストの解決策とは

葬儀は冠婚葬祭のなかでも優先度が極めて高いものです。なぜならほかのイベントとは異なり、「2回目」「後日の挨拶」ができないものだからです。故人との最後のお別れとなる場面ですから、きちんと準備をし、欠席したり遅れたりしないように気を付けなければなりません。
しかし、天候によって公共交通機関に乱れが出たり、うっかり道に迷って遅刻したりする人もいるかもしれません。特に小さなお子さんを抱えている場合は、予期しないトラブルが起きることも多いものです。それによって遅刻をしたり、せっかく参列したのに途中退席をしなければならなくなったりすることもあるでしょう。
このような状況に陥ったときの振る舞い方についてお教えします。

まず前提で押さえておきたい、葬儀の装いの基本

通夜や葬式・告別式に参列しようとして遅れてしまった場合は、「どれくらい遅れたか」で対応が異なります。

1.軽微な遅れの場合(15分程度まで)
「15分程度遅れた」という軽微な遅れの場合は、葬儀に参加することができます。受付の人が残っている場合(※受付の人も葬儀が始まると焼香のために会場の中に入りますが、1人程度は残っていることもあります)は、その受付の人に遅刻してきたが参列した旨を伝えてください。
受付の人がいない場合は、葬儀会社のスタッフに声を掛けるようにしてください。なお葬儀会社のスタッフがロビーにいないこともありますが、その場合は「事務所」「スタッフオンリー」などと書かれた事務室を探して、ノックして声を掛けてください。たいていの場合は、スタッフがだれか1人は事務室にいるはずです。それでも応答がない場合は、葬儀会社の電話番号を調べて電話をしてください。

2.式がかなり進行した状態での遅刻の場合(30分程度まで)
葬儀は、規模によって進行具合が異なります。大規模な葬儀の場合は30分程度経った状態でもまだ葬式が続いている場合もありますが、すでに終わりかけていることもあります。またこの段階になると受付に人がいることは極めてまれです。
この場合は、葬儀会社のスタッフに声を掛けてください。スタッフが式の進行状況を確認して、どうすれば良いかを伝えてきますから、それに従うようにしてください。

3.式の最終盤になってしまった状態での遅刻の場合(1時間程度)
1時間程度経過した場合は、よほど大規模な葬儀でもない限り、すでに告別式(お花などを棺に入れる段階。この後出棺になる)が終わる直前かと思われます。また、まだ終わる直前ではない場合であっても、棺の蓋を空けて最後のお別れをしている最中であるため、会場に入ることはあきらめた方がよさそうです。ただし、「1時間遅刻はしてしまったものの、会場には着いた」という場合は、一度葬儀会社のスタッフに声を掛けてください。ケースによってはまだお別れに間に合う可能性もあります。
「交通事故が起きてしまって、まだ道中である。このままだと、確実に1時間以上遅刻する」という状況ならば、欠席をすることも視野に入ってきます。なお、「一般葬の参列者の立場であり、ご家族に出席する旨を特に告げておらず、関係性としてもそれほど深くはない」という状態のときは、連絡をする必要も特にありません。
ただし、親族の立場で、「葬式・告別式の後は火葬に立ち合い、さらにその後の繰り上げ初七日法要と精進落としの席に参加する予定である」という場合は必ず連絡をしなければなりません。場合によっては、精進落としの席の開始時間を後ろ倒しにするなどの対応を取る必要が出てくることもあるからです。
なお「葬儀の連絡は喪主に」が基本ではありますが、葬式・告別式のときは喪主は基本的には電話を取れないことが多いといえます。連絡がつかない場合は、葬儀会社の電話番号にかけると確実です。

葬儀の途中退席は、読経が終わった後で

ここまで、「遅刻」について解説していきましたが、それでは「途中退席」はどのように考えればよいのでしょうか。
葬儀の途中退席は、基本的には行わないようにします。ただ、「どうしてもお別れをしたかったので無理に時間を作って参列したが、この後に非常に重要な用事がある」などの場合もあるでしょう。このようなときは、読経が終わったタイミングで退席するようにします。
「最後まで出るつもりだが、小さな子どもがいる。預けられなかったから連れてきたが、途中で泣き叫んでしまった」という場合は、読経の最中であっても、お子さんを連れて途中退席することを選んでください。このときは、読経の途中で退席する失礼よりもお子さんを泣かせっぱなしにしてしまう失礼と判断されます。お子さんの泣き声でご家族に迷惑を掛けることは避けたいものです。
なおお子さんの対応は基本的にはロビーで行うことになります。葬儀会場とロビーを隔てる扉は高い防音性を備えていることが多いため、ロビーで泣いていても会場内に響くことは原則としてありません。ただ、あまりにも激しく泣きわめいている場合は、葬儀会社のスタッフに声を掛けてください。会場から離れた部屋を案内することも可能かもしれません。
なお、途中退席を予定あるいは予想している場合は、葬儀会場の前の方には座らないようにしましょう。退席するときに目立つからです。葬儀会場にはイスが並べられていることが多いかと思われますが、後方の席につくようにしてください。

火葬場に誘われているのに行けないと分かっているときはは早めに連絡を

上では「火葬にも繰り上げ初七日法要にも精進落としにも誘われていたのに、道中の交通事故で大幅に遅刻しそうだ」というときの対応方法について紹介しました。
それでは、「火葬にも繰り上げ初七日法要にも精進落としにも誘われていたのに、参加できないことが事前に分かった」という場合どうすればよいのでしょうか。このようなケースはあまり起こるものではありませんが、

・緊急入院した
・予約していた飛行機が飛ばなくなり、ほかの交通手段が確保できない
・子どもが急に熱を出した。「家族・親族」の立場だったので、いつもなら預けられる相手も全員葬儀に参列する予定で、病児の預け先がない

などのようなパターンが考えられます。

このような状況になった場合は、基本的には遅くとも前日までに連絡することが望ましいといえます。しかし当日になってからこのような緊急事態に陥ることもあるでしょう、その場合は、分かった時点で必ず連絡するようにします。前日までの連絡ならば精進落としの席を減らすことができるかもしれませんし、当日の連絡であっても(料理などは無駄になるものの)ご家族に「待つべき? それとも待たないで進行するべき?」「交通事故にでもあったのかな?」などのような心労を掛けることだけは避けられます。連絡なしで、いわゆる「ドタキャン」の状態になることは絶対に避けるべきです。

また、どのパターンでも「謝罪」は必要です。
一般参列者の立場で、特にご家族に「行く」という意向を示していなかった人が遅刻した場合は受付の人に簡単に謝罪+遅刻してきた旨を伝えるだけで構いません。しかしご家族に「行く」と伝えていた人が、遅刻をしたり途中退席をしたり欠席をしたりすることになった場合は後でご家族にお詫びをするようにしてください。なお、火葬・繰り上げ初七日法要・精進落としの席への参加が求められていたにも関わらず、遅刻や欠席をしなければならなくなったという場合は後日改めて丁寧にお詫びをしなければなりません。

葬儀における遅刻・途中退席・欠席は、出来る限り避けたいものです。やむを得ずこれらの選択肢を取ることになった場合は、立ち居振る舞いに特に気を付けたいものですね。

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