お葬式で喪主様がしなければならないことに、宗教者への対応があります。ただでさえ不慣れなお葬式の現場ですから、普段僧侶と話さないという方や、お葬式を通じてはじめて僧侶と関わりを持つという方は、どのように対応すべきか分からないものです。この記事では、挨拶や御布施の渡し方など、葬儀や仏事の際の僧侶への対応方法をさまざまな観点からご紹介いたします。役に立つ記事になると思いますので、どうぞ最後まで読み進めてみて下さい。
葬儀と僧侶の役割について
まずは僧侶が葬儀で何をしているのか。葬儀と僧侶における基本の「キ」を解説いたします。
僧侶は「供養の専門家」
僧侶の役割をひと言で言うならば「供養の専門家」と言えるでしょう。私たちは、大切な家族が亡くなったあと、どのように故人様と向き合えばいいのか分からなくなってしまいます。
「悲しみや戸惑いが溢れて、何も手につかない」
「故人様がいまどこで何をしているのか、気になってしまう」
「大切な人の死を受け入れられない」
このように、死別は自分たちだけでは解決できないとても大きな問題で、遺された人たちに大きな動揺や痛みを与えます。だからこそ、供養の専門家を招いて、大切な家族が息を引き取ったことを受け入れるための儀式を執り行うのです。
仏教では、故人様は仏弟子となり、あちらの世界でも修行を積んで成仏されていくと信じられており、葬儀はそのための儀式です(宗派によって解釈が異なることもあります)。そして僧侶こそが、故人様を仏の世界に導いてくれるのです。
檀家と菩提寺って、なに?
よく「檀家」と「菩提寺」という言葉を聞きます。どういう意味かご存じですか?
「菩提寺」はその家の先祖や家族を世代を超えて供養してくれるお寺のことで、それに対して供養をしてもらう家のことを「檀家」と呼びます。檀家は金銭だけでなく、さまざまな形でお寺を支えます。
両者の関係を「寺檀制度」と呼び、これは江戸時代から始まっています。前の章で書いたように、菩提寺は檀家の中で不幸があった時に、故人様を仏弟子にして仏の世界に導くわけですから、ここにある種の師弟関係ができ上がります。
そのため、菩提寺があるおうちは、必ず師匠にあたるそのお寺に葬儀を依頼し、戒名を授かり、供養をしてもらう、これが正式な形なのです。
万が一、菩提寺でないお寺に葬儀を依頼し、日を改めて菩提寺に法事や納骨をしてもらおうとするとトラブルに発展してしまいます。菩提寺の有無は、事前に把握しておくことをおすすめします。
菩提寺が遠方だった時の対応
地方から名古屋に移り住み、そのまま生活の拠点となっているという方は実に多くいます。この場合、故郷のお寺が菩提寺、というケースも少なくなく、
「遠くからわざわざ来てもらうのも申し訳ない」
「今後の法事のことを考えて、近くの僧侶と新たにお付き合いしたい」
…といったお声をよくいただきます。
こうしたお気持ちはよく理解できますが、おうちの方が勝手に判断するのはあまりおすすめできません。遠方であれ、まずは菩提寺に連絡をして指示を仰ぐのが無難です。
この場合、考えられる回答は次のいずれかです。
1「遠方であっても、名古屋まで足を運んで葬儀をお勤めします」
2「同じ宗派で知り合いのお寺が名古屋にあるのでご紹介します」
3「おうちの方で、名古屋のお寺様を新たに探されて構いません」
お客様によっては、遠方のお寺に連絡せずに、新たに近くのお寺に葬儀を依頼するというケースもあります。しかし、菩提寺は代々のご先祖様を供養して下さっているお寺ですし、もしもお寺の中にお墓があるならば、のちのちの埋葬のときにトラブルに発展しかねません。なぜなら、基本的に檀家の供養は菩提寺が行うものとされているからです。
葬儀の現場はあわただしく、さまざまなことを決めていかなければなりません。なるべく早めにお寺との関わり合いをどのようにするか考えて、場合によっては菩提寺に相談しておくことをおすすめします。
葬儀社が紹介したお寺との付き合い方
菩提寺がない場合、喪主様が希望する条件(宗派、日程、お布施、今後の関わり方など)に適う僧侶を葬儀社がご紹介します。通夜、葬儀の読経だけでなく、葬儀後の法事や仏事も継続的に対応してもらえます。
おうちの方によっては「通夜と葬儀のお経だけでいい」「四十九日や一周忌までしてもらったら、あとは自分たちで供養をする」という方も少なくありません。葬儀後の法事は、家族の方から連絡しない限り、お寺側からの催促は基本ありません(お伺い程度の案内を出すお寺はあるでしょう)。家族側がこれ以上の法事を必要としないというのであれば、それでも構いません。
また、時間が限られている通夜や葬儀では、いったん葬儀社に紹介してもらった僧侶に供養してもらい、その後、永続的に供養を任せられるお寺を時間をかけてゆっくり探すという方もいます。
お布施の渡し方、タイミング
「お布施をいつどのように渡せばいいのか分からない」という声も多くいただきます。
葬儀のお布施を渡すのは、通夜閉式時に僧侶控室まで出向いて渡すのが最もよいでしょう。
お布施の渡し方に特に決まりはありません。シーン別に、下記の5つに分けてみましたが、こうしてみると、やはり通夜閉式後が最も適しているように思えます。
通夜開式前→×
通夜式の前にお布施を渡してしまうと、控室にお布施を置いたまま通夜式に臨まなければならないため、防犯上おすすめできない。
通夜閉式後→○
通夜式のお礼と翌日の挨拶を兼ねて、お布施を渡すことができる。僧侶もそのままお寺に持ち帰ることができるので、防犯上安心。
告別式開式前→×
通夜開式前と同じ理由でおすすめできない。
告別式閉式後→△
告別式が終わった後はすぐに出棺が控えているため慌ただしい。もしも僧侶が火葬場、その後の精進落としまで同席されるのなら、最後にお見送りする時にお渡しできるかもしれない。
お寺に直接持参する→△
檀家と菩提寺として関係性がしっかりとできあがっている場合、葬儀の前、あるいは葬儀を終えたあとに直接お寺に出向いてお渡ししてもよい。
四十九日法要までに確認すべきこと
葬儀を終えたあとも、僧侶による供養は続きます。四十九日で故人様は仏さまになられると考えられていますが、この大切な法要までに何を確認すべきかをまとめました。
●七日ごとのお参りに来られるか
本来の仏事は、葬儀後も、初七日、二七日、三七日と続き、四十九日(七七日)まで、一週間ごとに僧侶がお参りをして(中陰法要)、手厚く供養していました。地域によってはいまでもこの風習が根強く残っています。まずは、七日ごとのお参りをされるのかどうかを確認し、お参りを希望するのか、辞退するのか、その旨を伝えましょう。
●四十九日の日程と場所の確認
四十九日法要は、故人様が仏になられるとされる大切な法要です。僧侶と調整して、日程と場所(自宅、お寺、葬儀会館など)を決めましょう。また、お寺によっては塔婆(故人の供養のために立てられる木の板)が必要な場合もありますので、とりまとめ方法を確認しておきましょう。
●位牌と仏壇
故人様の本位牌は四十九日法要に間に合うように手配します。仏壇がないおうちはあわせて仏壇も用意します。これらは仏壇店で購入しますが、購入の際に気を付けなければならない点を事前に確認しておきましょう。
いかがでしたでしょうか。宗教者との対応で分からないことがあれば、どうぞお気軽に西田葬儀社にご相談下さい。