人が亡くなったときにそれを知らせることを、「訃報(を知らせる)」といいます。ここでは、この「訃報」を取り上げて、
・【ケース別】訃報を伝えるタイミングとその手段
・訃報で伝えるべき内容とは
・訃報に関するQ&A
について解説していきます。
【ケース別】訃報を伝えるタイミングとその手段
一口に「訃報を伝える」と言っても、そのタイミングはさまざまです。また、そのタイミングによって、お知らせする手段も変わってきます。
ここでは、ケース別に、「どんなタイミングで知らせるか」「知らせるべき対象となる人はどんな人か」「どんな手段で伝えればいいか」について解説していきます。
【亡くなった直後】
・だれに?→家族や親戚
・手段→電話
・タイミング→すぐに。深夜でも早朝でも、即時知らせる
「今まさに息を引き取った」という場合は、家族や親戚にはすぐに電話で知らせるようにします。また「病気でいよいよ危なくなってきたということで、親族が病院に駆けつけ始めていたが、道中で亡くなった」ということもあると思われますが、その場合も携帯電話に連絡するとよいでしょう。
この「亡くなった直後の連絡」は、深夜でも早朝でも構いません。訃報はあらゆることに優先する最重要事項ですから、すぐに知らせましょう。
【葬儀の日程を決めた後】
・だれに?→親族や家族同然に仲良く付き合っていた人を優先しつつ、故人・家族と関係のあった人に。家族葬の場合は、直属の上司などに
・手段→電話、メール、現在ではLINEでの連絡も許容される傾向にある
・タイミング→葬儀の日時と場所が決まった後
葬儀の日程が決まったら、順次連絡していきます。基本的には、親族や極めて親しく付き合っていた友人を優先しますが、同時進行的にほかの人にも連絡をするとよいでしょう。なおかつては訃報は電話などで知らせるべきとされていましたが、メール文化が根付いてからはメールでも構わないとされるようになりました。またさらに現在では友人相手にはLINEなどを利用して、「グループ」に送るやり方も許容されるようになりつつあります。こうすることで、大幅に手間と時間を軽減できます。
お知らせのタイミングは、葬儀の日時と場所が決まったときです。深夜や早朝でも問題はありませんが、昼まで待ってから連絡しても構いません。なお、葬儀の詳細な中身までは決めていない……という場合でも、日時・場所さえ決まっていれば連絡しても問題ありません。
家族葬の場合は、来てほしい人にのみ日時と場所を伝えます。ただ、「会社や学校を休むために、届けが必要」ということもあるでしょう。その場合は、直属の上司や忌引き休暇取得に関わる部署にのみ連絡します。場所は伝えません。また、家族葬であることを伝えましょう。基本的には日時も伝えませんが、手続き上必要となる場合は、家族葬である旨念を押したうえで、必要最低限の人にだけ伝えます。
【葬儀が終わった後】
・だれに?→故人と関わりがあったけれど葬儀に参列しなかった人
・手段→ハガキが基本
・タイミング→明確な決まりはないが、葬儀後1週間~49日までの間
「家族葬だったので親戚もほとんど呼ばず、家族だけで行った」「葬儀後、故人の書いたメモから『連絡すべき人』を記したリストが発見された」などのような場合は、後日にハガキなどで訃報を知らせます。この場合は特に急ぐ必要はありませんが、四十九日法要(仏教)までにお知らせする方がよいでしょう。
【年明け前に】
・だれに→年賀状のみでのやりとりの人や、やや遠い関係の人
・手段→ハガキ
・タイミング→11月~12月上旬
「年賀状のみでのやり取りの人」「遺族の友人だが、趣味の繋がりのみ」などの相手には、喪中ハガキで訃報をお知らせする方法もあります。
この場合は、11月~12月上旬に喪中ハガキを出すだけで構いません。喪中ハガキを以って、「亡くなったこと」を伝えるわけです。
どのように伝えるか
訃報のときに伝えるべきことは、以下の5つです。
・故人の名前
・死亡日時
・連絡している人間や喪主の名前
・連絡している人間や喪主が故人とどんな関係にあったか
・連絡先
一つずつ見ていきましょう。
・故人の名前
まずは一番大事な「故人の名前」を伝えます。文面の場合は、「故〇〇儀」「〇〇儀」と記すこともあります。また、合わせて年齢も書き添える場合もあります。
・死亡日時
「〇月×日に永眠いたしました」などのように記します。「葬儀の日程を決めた後」までのタイミングでの連絡ならば葬儀の案内も行います。なお一般的には「亡くなった時間」までは記しません。
・連絡している人間や喪主の名前
連絡をしている人の名前と、喪主の名前も伝えます。後日のお知らせの場合は喪主の名前だけを記すかたちではなく、家族全員の名前を書くケースが多いといえます。
・連絡している人間や喪主が故人とどんな関係にあったか
「長男」「長女」「妻」などのように、故人との関係も伝えます。また文面のときは、「父〇〇が永眠しました」などのように記すことになるでしょう。
・連絡先
後日にハガキなどでお知らせする場合は、単に差出人の住所を記すだけで事足ります。そのため、電話番号を記す必要はありません。葬儀に来てほしい場合は、必ず連絡先を伝えます。喪主の電話番号を伝えるのが基本ですが、電話口で応対している人間の電話番号を伝えても構いません。
この5つの要素は、訃報のすべてにおいて必要になるものです。これに加えて、葬儀に来てほしい場合あるいは一般葬の場合は「どこで何時にどんな形式で行うか」も伝えましょう。忘れがちではありますが、宗教的な儀式を伴う場合は、宗教と宗派(「曹洞宗」など)も伝えておくと親切です。
訃報のマナーについてのQ&A
Q1.伝える手段はメールでもよい?
A1.現在は問題がないと判断されることが多い
急ぎの場合は電話、後日に正式に知らせる場合は書面、というやり方が正式です。ただし、「上司に電話をしているが繋がらない!」などの場合は、メールで送っても構いません。また友人などの気の置けない仲間に対しては、メールを使うかたちで問題ありません。上でも述べましたが、現在はLINEなどでの連絡も、友人相手ならば許容される傾向です。
Q2.伝える時間にマナーはある?
A2.ない。深夜でも早朝でも構わない
すでに述べましたが、「亡くなった直後の連絡」の連絡は深夜でも早朝でも構いません。葬儀の日程が決まったときも時間の別なく伝えても構いませんが、昼まで待っても構いません。
Q3.近所の人に伝えるには?
A3.町内会の責任者などに伝える
班長や区長に伝えるのが一番早いかたちでしょう。もちろん、「ご近所で親しく付き合っている人がいる」という場合は、その人に直接お知らせしても構いません。
Q4.新聞のお悔やみ欄への掲載は必須?
A4.必須ではない
かつては新聞のお悔やみ欄に訃報を載せていたものですが、現在ではこのやり方はやや下火になりつつあるようです。訃報を新聞に掲載する義務はありませんから、故人や家族が強く希望している場合以外は掲載をしなくてもよいでしょう。
「訃報」はあらゆる連絡のなかで、もっとも緊急性が高いものです。ただ、訃報を知らせるタイミングによってマナーは変わってきますから、このあたりは意識しておくとよいでしょう。