葬儀に行けなかった場合のマナーと対応方法~手紙、花、香典、後日の訪問について
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冠婚葬祭のなかでも「葬」はもっとも優先しなければならないものですが、それでもどうしても葬儀に行けない状況に陥ることもあるでしょう。今回はそんな「葬儀に行けなかった場合」を想定して、「断り方」、「代替案後日の弔問」について解説していきます。
もくじ
葬儀は基本的には参列すべきもの~断るときにはどうすればいい?
葬儀は、亡くなった人との最後のお別れの場面です。そのため、ほかの予定があったとしても基本的には葬儀を優先するべきです。特に家族葬の場合は、ご家族から「ぜひ来てほしい」と声をかけられるわけですから、何をおいても参列するべきだといえるでしょう。しかし、「病気やけがで入院している」「現在海外に住んでいるので、すぐに飛行機を手配したとしても葬儀に間に合わない」などの止むを得ない理由で欠席しなければならないこともあるでしょう。
そのような場合は、
「一身上の都合によりまして、どうしても参列することができません。大変申し訳ございません。〇〇さまの安らかな眠りお祈りしております。ご家族さまも、お体とお心を労わってお過ごしください」
などのように丁寧に断るようにしましょう。基本的には理由を詳しく話す必要はありません。ただ、「親戚の立場であり、非常に気心が知れている」「相手から理由を聞かれた」などのような場合は、詳しい理由を述べても構いません。
また葬儀の参列を断る場合は、打診があった時点ですぐに返答してください。特に家族葬の場合は、早い回答が求められます。なぜなら多くの場合葬儀の後には会食があり、喪家はこの会食に参列する人数を把握しなければならないからです。ご家族から特にと声をかけられる場合は、この会食への参加も前提にしていることが多いため、いつまでも返答を引き延ばすと喪家に迷惑をかけることになります。
葬儀に行けないときの代替案
ここからは葬儀に行けないときの代替案について考えていきましょう。
代替案は、以下の通りです。
・供物や供花を送る
・香典(不祝儀)を送る
・弔電を送る
・代理人にお願いする
ひとつずつ解説していきます。
・供物や供花を送る
供物や供花は、弔意を表すための方法のひとつです。葬儀に行けない場合でも、これを出すことで悼んでいる気持ちを表すことができます。ただ、家族葬の場合は供物や供花を辞退するご家族も多いといえます。そのため事前に意向を確認しましょう。
なおご家族の意向は、原則としてご家族にではなく、葬儀会場のスタッフに聞くようにします。喪家は非常に忙しく、一人ひとりの問い合わせに対応できないことも多いからです。
供物や供花を送る場合は、葬儀会社を通しましょう。そうすることで葬儀会社も「来る予定の供物や供花」を管理しやすくなり、会場のどの位置に置くかを検討しやすくなります。また、統一感を出すこともできます。
・香典(不祝儀)を送る
香典(不祝儀)を送るのもよいでしょう。なお香典(不祝儀)は郵送してもまったく問題ありません。郵送するときは必ず現金書留を使ってください。香典(不祝儀)は、連絡を受けた時点で出すのが理想的です。基本的には葬儀1週間後までに、遅い場合でも1か月以内には届くようにします。香典(不祝儀)を送る場合は、手紙を添えると丁寧です。「ご尊父様のご逝去を悼みまして心よりお悔やみを申し上げます 一身上の都合により参列できない無礼をお許しください」などのように記すとよいでしょう。
なお香典(不祝儀)もまた、供花・供物同様、ご家族が辞退の意向を示す場合もあります。この場合はご家族の意向に沿いましょう。
・弔電を送る
葬儀に参列できない場合は、会場に弔電を打つこともおすすめします。なお現在はお香つきの弔電なども出ていますから、これを利用するのもよいでしょう。弔電は、基本的には通夜に届くように、遅くても葬儀・告別式に間に合うようにしましょう。早い時間に申し込めば、最短でその日のうちに届けてもらえます。なお弔電を送る場所は、自宅葬でない限り、「会場」です。自宅ではありません。ご家族は葬儀会場に詰めていることが多く、葬儀・告別式の後に行われる会食が終わるまで家に帰らないことが多いからです。
家族葬の場合は、供花・供物・香典(不祝儀)を辞退するご家族は多いものです。しかしこれらを辞退する喪家であっても、弔電は辞退しないケースが多いといえます。なぜなら弔電は供花・供物・香典(不祝儀)とは異なり、お返しを必要としないものだからです。またスペースをとるものでもありません。そのため、喪家から明確に「弔電も辞退する」という意向が示されていない限りは、弔電は送っても構いません。
・代理人にお願いする
「どうしても葬儀に参列できないが、ほかの人間を代理に立てて香典(不祝儀)を持って行ってもらいたい」と考える人もいるかもしれません。ここでは「本来参列すべき立場の人」をAとし、「代理人として出席する人」をBとします。代理人を立てることはバッドマナーにはあたりません。ただご家族には前もって伝えておくようにしましょう。なぜならご家族はその代理人のことを知らない場合もあるからです。代理人に香典(不祝儀)を託す場合の金額は、代理人を立てる・立てないに関わらず同一の相場です。不祝儀袋の名前はBのものではなくこれをAの名前とし、左下に「代」と小さく添えます。ただし代理人を務めるのが配偶者の場合は「内」とします。また、Aの住所氏名もきちんと添えておきましょう。
代理人として葬儀に参列した場合、記帳はAの名前+Bの名前で行います。まずはAの名前を書き、その横に「代(配偶者以外)」あるいは「内(配偶者)」と書いてBの名前を記載します。
後日の訪問、そのときに気を付けるべきこととは
「葬儀の日は入院中であったので、供物・供花・香典(不祝儀)・弔電・代理人の手配もできなかった。退院後に弔問に伺いたい」という場合のマナーについて解説していきましょう。後日に弔問する場合は、まずはご家族に許可をもらう必要があります。葬儀の際に参列できなかったことを詫びたうえで、故人にご挨拶をさせてほしいという希望を伝えればよいでしょう。
なお亡くなった直後・葬儀直後はご家族は非常に忙しいものですから、ある程度落ち着いた後(葬儀後5日程度)に打診するようにします。
基本的には四十九日法要(※仏教の場合)の前に伺うようにしますが、「そのころはまだ入院している」あるいは「後で知った」という場合は、四十九日法要の後に弔問しても構いません。
香典(不祝儀袋)は、仏教の場合は四十九日より前は「御霊前」、それ以降は「御仏前」とします。ただし、浄土真宗の場合は「亡くなった方はすぐに浄土に行く」と考えるため、「御霊前」は使いません。キリスト教の場合は「御花料」、神式の場合は「御榊料」「神饌料」とするとよいでしょう。また後日の弔問の場合も、ご家族が香典(不祝儀)辞退の意向を示しているのであれば、それに従います。
弔問の場合は、喪服は着用しません。平服で伺うのが基本です。ただし、平服=普段着、ではありません。黒色~ダークトーンのビジネススーツやワンピースを選びましょう。当然のことながら、派手に見える服装は避けます。
葬儀はとても大切なものです。そのように大切なものだからこそ、参列できないときの対応方法を押さえておきたいものですね。